突然の急騰、一体何が?
2025年10月16日、人気ファミリーレストラン「サイゼリヤ」(証券コード7581)の株価が、たった1日で劇的に上昇しました。前日の終値4,795円から705円も値上がりし、5,500円で取引を終えました 1。これは14.70%もの上昇率です。
この日の株価は「ストップ高」という水準に達しました。これは、株価が1日に上がりすぎないように取引所が設けた上限価格のことです。つまり、サイゼリヤの株を「買いたい」という人が殺到し、その日の上限まで一気に値段が押し上げられたことを意味します。
この熱狂ぶりは、株の取引量にも表れています。前の日に約50万株だった取引量は、16日には約331万株へと、およそ6.6倍に急増しました。多くの投資家が、このニュースに飛びついたことがわかります。
| 指標 | 10月15日 (前日) | 10月16日 (当日) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 株価 (終値) | 4,795円 | 5,500円 | +705円 (+14.70%) |
| 出来高 (取引量) | 502,900株 | 3,309,000株 | 約6.6倍に急増 |
この株価の急騰は、前日15日の夕方にサイゼリヤが発表した「ある知らせ」が直接の原因でした。
理由1:市場の予想を大きく超える未来予測
株価が急騰した最大の理由は、サイゼリヤが発表した2026年8月期(来期)の業績予想です。会社は、来期の営業利益が190億円に達する見込みだと発表しました。これは、前期の154億円から約23%も増加するという、非常に力強い数字です。
ここで「営業利益」とは、レストランの運営など、会社の本業で稼いだ利益のことです。材料費や人件費などを差し引いた後の利益で、その会社の「稼ぐ力」を最もよく表す指標とされています。
この190億円という数字のすごさは、専門家たちの予想と比較するとよくわかります。市場の専門家(アナリスト)たちの予想平均は177億円でした。サイゼリヤの発表は、この専門家たちの予測を13億円も上回る「うれしい驚き」だったのです。株価は未来への期待を反映するため、この予想外の好材料に投資家が一斉に反応し、爆発的な買い注文につながりました。
理由2:好調な実績が予測の信頼性を裏付け
投資家たちがこの強気な未来予測を信じたのには、しっかりとした根拠があります。それは、同時に発表された2025年8月期(前期)の決算内容が非常に良かったからです。
前期の営業利益は154億円となり、前の期から4.3%増加しました。特に注目すべきは、国内事業の驚異的な伸びです。海外事業が苦戦する一方で、日本国内の事業の営業利益はなんと84%も増加しました。
この成功の背景には2つの要因があります。まず、節約を意識する消費者の心をつかんだ手頃な価格設定で、客数が増えたこと。そして、専門家が「想定以上」と驚くほどの徹底したコスト管理で、経費を抑えることに成功したことです。この国内での圧倒的な成功が、「サイゼリヤの経営陣なら、来期の高い目標も達成できるだろう」という市場の信頼を生み出しました。安定した国内事業で稼いだ資金を、成長が見込める海外展開に使うという戦略が評価された形です。
理由3:未来へ向けた具体的な成長戦略
今回の発表には、力強い業績予想を支える具体的な計画も含まれていました。
会社は来期、国内で20店舗、海外で77店舗の純増を計画しています。特に海外での積極的な出店が、今後の大きな成長への期待を高めています。
また、株主への配当は年間30円を維持する方針です 6。利益を配当で大きく増やすのではなく、会社の成長のために再投資する姿勢を明確にしています。さらに、将来的には「株式分割」を検討することも発表しました。株式分割が行われると1株あたりの価格が下がり、個人投資家がより株を買いやすくなるため、市場からは好意的に受け止められています。




