ジンズ、過去最高益。国内好調、海外回復で売上972億円

ジンズホールディングスが2025年8月期連結決算を発表した。売上高は前期比17.1%増の972億円、営業利益は54.3%増の120億円と、過去最高の大幅な増収増益を記録した。物価上昇や消費マインドの低迷が懸念される中、それをものともしない力強い成長を示した形である。

国内事業が成長を牽引

好調な業績を牽引したのは、売上の約8割を占める国内アイウエア事業である。売上高は766億円(前期比19.2%増)、営業利益は113億円(同45.7%増)と驚異的な伸びを見せた。

成功の要因は明確である。高単価なレンズやフレームの販売が好調だったことに加え、継続的な販促キャンペーンが顧客の購買意欲を刺激した。さらに、回復著しいインバウンド需要の取り込みにも成功。9月度の月次売上を見ても、全店ベースで前年比+11.9%、既存店ベースでも+7.5%と好調を維持しており、その勢いは続いている。

出店戦略も功を奏した。都心部だけでなく、家族連れをターゲットにした郊外のロードサイド店舗への出店を加速させ、新たな顧客層の開拓を進めている。当期は国内で49店舗を新規出店し、店舗数は540店舗に達した。

海外事業は回復軌道に

海外アイウエア事業も着実に回復している。売上高は205億円(前期比9.9%増)、営業利益は7.4億円(前期は0.4億円)と、黒字幅を大きく拡大させた。

特に、事業構造改革を進めてきた中国事業が順調に回復。台湾では新規出店を加速させ、売上を伸ばしている。一方で、香港や米国では景気や出店タイミングの影響で想定を下回ったものの、海外事業全体としては回復基調にあると言える。海外店舗数は合計で249店舗となった。

1000億円企業へ、次なる一手

ジンズは来期(2026年8月期)の業績予想として、売上高1,116億円、営業利益130億円を掲げる。いよいよ売上1000億円の大台が見えてきた。

今後の成長戦略の柱は「グローバル化の推進」だ。2026年春には、東京・銀座に初のグローバル旗艦店をオープンし、世界へ向けてブランド発信を強化する。さらに、モンゴルへの進出やベトナム、フィリピンでの子会社設立など、アジアを中心とした海外展開をさらに加速させる方針である。

国内では、引き続き顧客体験の向上と経営効率化を追求する。魅力的な商品開発や効果的な販促はもちろんのこと、店舗オペレーションの改善や本部業務のデジタル化を進め、コスト増に対応しながらさらなる企業価値向上を目指す。

物価高や人手不足など、小売業を取り巻く環境は依然として厳しい。しかし、ジンズは明確な戦略とスピード感のある経営で、その逆風をものともせず成長を続けている。国内外での積極的な事業展開により、日本発のグローバルブランドとしての地位を確立できるか、今後の動向から目が離せない。

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