ラーメン業界はいま、原材料費や光熱費、人件費の上昇が重く、売上が伸びても利益を残しにくい厳しい環境にある。そうしたなかで、山岡家の2027年1月期第2四半期決算は、売上も利益も大きく伸ばす内容となった。なぜ山岡家は、この厳しい市場で支持を集め続けているのか。中間決算の数字を追うと、その理由が見えてくる。
好決算はなぜ実現したのか
山岡家の2027年1月期第2四半期の売上高は228.7億円で前年同期比15.4%増、営業利益は24.9億円で同27.0%増、経常利益は25.4億円で同26.8%増である。注目すべきなのは、単に売上が伸びたことではない。利益も強く伸びており、店そのものへの支持が数字に表れている点である。
売上増の中心は「値上げ」ではなく「客数」である
外食チェーンの決算では、売上が値上げで伸びたのか、客数増で伸びたのかが重要である。山岡家の既存店売上高は前年同期比109.5%で、その内訳は客数107.6%、客単価101.8%であった。
つまり今回の成長は、価格改定だけに頼ったものではない。来店する客の数そのものが増えているのである。外食では値上げで一時的に売上を作れても、客足が弱くなれば成長は続かない。その点、山岡家は客数がしっかり伸びており、既存店売上高も52カ月連続で前年を上回っている。長く支持を積み上げてきた強さがあると言える。
山岡家の強さは、味だけではない
山岡家といえば、濃厚な豚骨スープや太めの麺、独特の“山岡家らしさ”を思い浮かべる人が多いだろう。もちろん味の個性は大きな魅力である。ただ、それだけではない。
山岡家の強さは、日常の中で選ばれやすいことにある。ロードサイド立地で駐車場が広く、24時間営業の店舗も多い。深夜でも入りやすく、車でも立ち寄りやすい。味の方向性もわかりやすく、安心感がある。
話題店のように「一度食べてみたい店」ではなく、山岡家は“気づけばまた行っている店”になりやすい。こうした日常的な利用のされ方が、チェーンとしての強さにつながっている。
「また食べたくなる」が、リピートを生んでいる
山岡家のラーメンは、誰にでも無難に好かれるタイプというより、好きな人が定期的に食べたくなるタイプである。これは外食チェーンにとって大きな強みである。
さらに山岡家は、定番だけでなく限定メニューやトッピングの幅もある。常連客が飽きにくく、何度も通う理由が生まれやすい。つまり山岡家は、味に個性があり、その個性をリピートにつなげる仕組みも持っているのである。
アプリとSNSも支持拡大を後押ししている
今回の中間決算では、7月末時点のアプリ会員数が約223万人となり、期初から39万人増えたことも注目点である。アプリは単なる会員管理ではなく、クーポンや特典を通じて再来店のきっかけを作る装置になっている。
加えて、山岡家はYouTubeなどでの投稿が認知度向上や新規客、リピーターの獲得に寄与しているとしている。いまの外食は広告だけでなく、利用客自身の投稿によって話題が広がる時代である。山岡家は、そうしたSNS時代との相性の良さも持っている。
支持があるからこそ、利益も伸びる
今回の決算で最も重要なのは、支持されているから客数が増え、その客数増が利益増につながっていることである。売上高が15.4%増だったのに対し、営業利益は27.0%増であった。売上以上に利益が伸びているのは、客数増によって店舗運営の効率が高まり、固定費を吸収しやすくなったためと考えられる。
ラーメン業界はコスト高の負担が重いため、少し売れた程度では利益は伸びにくい。だからこそ、利益までしっかり伸びている今回の決算には意味がある。単なる値上げ効果ではなく、店そのものへの支持がある証拠と見るべきである。
課題はあるが、足元はなお強い
もちろん、今後も原材料費やエネルギーコスト、人件費の上昇は続く可能性があり、楽観はできない。出店拡大と品質維持の両立も引き続き課題である。
それでも、足元の勢いは強い。8月の既存店売上高も前年同月比109.1%と伸びており、中間期を過ぎても流れは続いている。
今回の中間決算は、山岡家が単に好調であることを示しただけではない。なぜ支持されているのか、その理由まで数字に表れた決算であった。
行きやすい。深夜でも入りやすい。味に個性がある。限定メニューで飽きにくい。アプリで再来店のきっかけを作れる。SNSでも話題になりやすい。こうした要素が重なり、山岡家は「また行きたくなる店」になっている。
そして、その“また行きたくなる力”が客数の増加となって表れ、決算の強さにつながっている。厳しいラーメン業界のなかで、山岡家の数字が際立つ理由はそこにある。




