ベローチェ・珈琲館運営「C-United」売却へ──300億円〜400億円規模2025年12月10日 ブルームバーグ報道

2025年12月10日、ブルームバーグ通信は、香港を拠点とする投資ファンド「ロングリーチグループ」が、傘下のカフェ運営大手 C-United(シーユナイテッド)株式会社の売却プロセスを開始したと報じた。
関係者によれば、売却額の目安は 300 億円から 400 億円とされている。

C-United は「カフェ・ベローチェ」「珈琲館」「カフェ・ド・クリエ」の 3 ブランドを主軸に、国内で約 600 店舗を展開する業界第 5 位のカフェチェーンである。本報道は、コロナ禍以降進められてきた外食業界の再編が、一つの出口(イグジット)局面に入ったことを示唆している。

売却対象の資産価値と財務状況

今回売却対象となる C-United は、複数のカフェチェーンを買収・統合(ロールアップ)して形成された企業体である。その資産価値を構成する主要な数字と事実は以下の通り。

  • 企業規模:国内店舗数 約 600 店舗(業界 5 位)
  • 主要ブランド
    • カフェ・ベローチェ:セルフサービス型。都心部の駅前・オフィス街に強み
    • 珈琲館:フルサービス型。「永遠の40歳」をコンセプトに、シニア層や高単価需要を取り込む
    • カフェ・ド・クリエ:2023年にポッカクリエイトより事業統合。病院内店舗や女性客層に強み
  • 業績:2024年3月期の売上高は 299 億 925 万円。2025年度は前年度比約 30% の利益増を見込むなど、収益性の改善が進んでいた。

売却価格として報じられた 300〜400 億円という水準は、売上高倍率(PSR)などの指標から見ても、年間売上高と同等以上の評価額であり、一定のプレミアムが乗せられた水準といえる。

ファンドによる「統合と再生」のプロセス

ロングリーチグループによる C-United の形成プロセスは、典型的なプライベート・エクイティ投資の手法に基づいている。

  • 2018:UCC 上島珈琲から「珈琲館」を買収
  • 2020:「カフェ・ベローチェ」運営のシャノアールを買収
  • 2021:上記 2 社を合併し C-United を発足
  • 2022:サッポロホールディングスから「カフェ・ド・クリエ」運営のポッカクリエイトを買収し統合

この間、ロングリーチは経営効率化を徹底した。物流・調達網の統合に加え、店舗運営管理ツール「ClipLine(クリップライン)」を直営全店に導入するなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)による教育コスト削減とサービス均質化を推進してきた。

また、2025年3月からはカフェ・ベローチェにおけるフランチャイズ(FC)加盟店の募集を開始しており、直営偏重だったビジネスモデルを、資本効率の高い FC モデルへと転換する道筋をつけていた。

2025年の市場環境と売却の背景

2025年現在、外食産業を取り巻く環境は「人件費高騰」と「原材料費の上昇」により厳しさを増している。一方で、インバウンド需要の回復やオフィス回帰による都心店への客足の戻りは顕著である。

今回の売却判断には、以下の要因が重なったと考えられる。

  • 業績回復の完了:コロナ禍の打撃から回復し、営業利益ベースでの成長軌道が確認された
  • 規模の経済の限界:600 店舗体制での統合効果が一巡し、次の成長フェーズ(1000 店舗規模や海外展開)には新たな資本パートナーが必要
  • ファンドの償還期限:最初の投資(珈琲館)から 7 年が経過し、ファンドの運用期間として適正な売却時期

想定される買い手と今後のシナリオ

300〜400 億円規模の買収が可能なプレイヤーは限定的である。市場関係者の間では、以下のシナリオが有力視されている。

1. 大手外食グループによる買収

ゼンショーホールディングスやトリドールホールディングスなど、豊富な資金力を持ち、マルチブランド戦略を推進する国内大手にとって、都心一等地の 600 拠点は極めて魅力的な資産となる。

2. 他の投資ファンドへの二次売却(セカンダリー・バイアウト)

さらなるバリューアップの余地があると判断する別の PE ファンドが引き受けるケース。未着手の海外展開や、さらなる業界再編(他の中堅チェーンとの統合)を視野に入れる場合が想定される。

3. 異業種からの参入

食品スーパー「ロピア」など、製造小売(SPA)化を進める流通大手も外食事業の強化を掲げており、買い手候補として排除できない。

結論

C-United の売却報道は、日本のカフェ市場が「ブランドの乱立期」から「資本の集約期」へ完全に移行したことを示している。

「ベローチェ」や「珈琲館」といった確立されたブランドが、誰の手に渡り、どのような戦略の下で 2026 年以降を展開するのか。従業員約 1 万人(パート含む)を抱える巨大チェーンの行方は、外食業界全体の先行きを占う試金石となる。

正式な合意発表が待たれる。

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