セブン-イレブン、薬を届けて栄養も診る

3月、セブン-イレブン・ジャパンが2つの新施策を立て続けに打ち出した。「宅配で医薬品を届ける」「尿検査で栄養タイプを判定する」。コンビニが薬局と栄養士を兼ねる時代が、静かに始まった。


薬が20分で届く、4店舗からの出発

3月2日、セブン-イレブン・ジャパンは宅配サービス「7NOW」を通じた一般用医薬品のインターネット販売を開始した。

「7NOW」とは、スマホアプリで注文し最短20分で自宅に届けるセブン独自の即配サービスだ。これまでは食品・日用品が中心だったが、今回初めて医薬品カテゴリーが加わった。

販売対象は第2類・第3類の一般用医薬品。開始時点は医薬品販売許可を持つ「7NOW」対応店舗4店舗からのスタートで、注文可能時間は薬剤師または登録販売者の勤務時間内に限られる。濫用のおそれがある医薬品については、20歳未満への販売は行わない。

【用語解説】第2類・第3類医薬品とは、医師の処方箋なしに購入できる「一般用医薬品」の区分。風邪薬・解熱剤・胃腸薬などが該当する。登録販売者とは、都道府県の試験に合格した医薬品販売の専門資格者だ。

注文の流れはシンプルだ。アプリで商品を選び、ピッキングと梱包は店舗の薬剤師か登録販売者が担当。他の商品とは分けて配送・提供する。

なぜ今か。セブン-イレブン・ジャパンは「夜間・早朝の急な体調変化に加え、高齢化や共働き世帯の増加により、必要な時に医薬品を入手しにくい課題が顕在化している」と説明している。深夜に発熱しても薬局は閉まっている。そんな場面を全国約2万2,000店のネットワークで解決しようという発想だ。今後は医薬品販売許可を持つ店舗へ順次拡大する。

「7NOW」について、セブン-イレブンは5年間で売上高1,200億円を目標に掲げており、医薬品の追加はその中核戦略の一つに位置づけられている。


1分の尿検査で「自分の栄養タイプ」がわかる

3月17日に始まった「TYPEFOOD(タイプフード)」の店頭展開も見逃せない。

販売エリアは東京都千代田区・江戸川区・多摩市の一部、合計85店舗。先行した都内2店舗のテスト販売を経て、3月17日から江戸川区の83店舗を加え本格展開に入った。

仕組みはこうだ。簡易尿検査キット「MY TYPE(マイタイプ)」と専用アプリを使い、約1分で栄養タイプを判定する。タイプはN・A・B・C・Dの5種類に分類され、2,800件の栄養データをもとに設計されている。27種類の栄養素のうち16種類を効率的に摂取できる商品を選べる。

【用語解説】パーソナライズ栄養とは、個人の体質・状態に合わせて必要な栄養素を選ぶアプローチ。従来は専門クリニックやサプリブランドの領域だったが、TYPEFOODはそれをコンビニ食品に落とし込んだ点が革新的だ。

商品ラインアップはパンとケーキの2カテゴリー。チョコクリームぱん(税込298円)、つぶあんぱん(同281円)、バターの極みスティックケーキ(同220円)、濃厚ショコラスティックケーキ(同230円)を揃える。全品300円以下。普段のコンビニ利用の流れで手が届く価格設定だ。

ECサイトでの販売開始から1年間で350万食を突破した実績(2025年2月28日時点)を持つブランドであり、今回の85店舗展開はリアル店舗への本格進出となる。


コンビニの次の戦場は「健康」だ

2つの施策に共通するのは「ヘルスケア」というキーワードだ。少子高齢化・共働き世帯の増加・健康意識の高まり。こうした社会構造の変化を受け、セブン-イレブンは食品・日用品の枠を超えた「生活インフラ」への進化を加速させている。

薬が届き、栄養が診断できるコンビニ。それはもはや近未来の話ではない。


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