スーパーの精米5kg平均価格、3,978円に下落――農水省POSデータが示す需給緩和の実態

全国のスーパー約1,000店舗の販売時点情報(POS)データを集計している農林水産省は3月23日、3月16日〜22日の精米5kg当たり平均価格が3,978円(税込)だったと発表した。前週比2円安にとどまるものの、3月9日の週(3,980円)に続いて2週連続で4,000円を下回り、昨年8月末以来およそ半年ぶりの3,000円台で推移している。

1月をピークに下落基調が定着

同データによると、今シーズンの米価は昨年末から年明けにかけて高騰が続き、令和7年12月29日〜令和8年1月4日の週に4,416円と集計開始(令和4年)以来の最高値を更新した。ところが令和8年1月以降は一転して下落基調に転じ、3月9日の週に初めて4,000円の節目を割り込んだ。3月16〜22日は前年同期(4,197円)と比較して▲219円(▲5.2%)と、前年割れに接近しつつある。

内訳を見ると、販売数量の約73%を占める銘柄米の平均価格は4,090円台で推移しているが、PB商品やブレンド米等(約27%)は前週比25円安の3,676円/5kgまで低下した。全体の価格を押し下げているのはこのブレンド・PB帯であり、流通段階での在庫圧力が廉価ラインに集中していることがうかがえる。

需要の下振れと民間在庫の積み上がり

価格下落の背景にあるのは需給の緩みだ。農水省は今月19日に開いた食糧部会で、令和7年産の主食用米需要量を691万〜704万トンと試算し、昨年10月時点の見通し(697万〜711万トン)から最大7万トン下方修正した。価格高騰が長引いたことで消費者の購買が抑制され、パン・麺類への代替が進んだとみられる。

一方で令和7年産の生産量は747万トンと前年を大幅に上回った。供給が需要を超過した結果、令和8年6月末時点の民間在庫量は221万〜234万トンに達する見通しで、適正水準とされる200万トンを最大34万トン超える過剰状態が予想されている。

こうした状況下で流通業者の間には余剰在庫の圧縮を優先する動きが広がり始めている。農水省の調査でも、コメ卸や小売店が販売価格を引き下げて在庫削減を図る事例が報告されている。年初の最高値局面で高値仕入れをした事業者が採算を度外視して売り急ぐ、いわゆる「損切り」的な価格引き下げが小売店頭にまで波及している構図だ。

販売数量は前年を上回る水準で推移

一方、販売数量については直近(3月16〜22日)の前年同期比が+15.9%と大幅増で推移している。これは昨年の同時期(令和7年3月17〜23日)が前年比▲7.6%と低調だったことによる反動であり、需要が本格的に回復したというよりも比較基準の低さが数字を押し上げている面が大きい。

政策面での不確定要素と今後の見通し

農水省は令和7年産米の価格抑制を目的に政府備蓄米を計59万トン放出したが、今後は需給の引き締めを目的とした買い戻しを実施する方針も示している。買い戻しは市中在庫を吸収するため、実施のタイミング次第では小売価格が再び押し上げられるリスクがある。

また、農水省が令和8年産の生産量を前年比約5%減とする生産調整方針を示していることも、先行きを複雑にしている。供給絞り込みが価格下落に歯止めをかける効果を持つ反面、過去の米価高騰が示すように在庫水準と市場心理の組み合わせが急激な価格変動を招く可能性は排除できない。

3,978円という価格は、令和のコメ騒動が始まる前の令和4〜5年の水準(2,999〜3,200円台)と比較すればなお2割以上高い。流通段階の損切りが一巡した後、小売価格がどの水準で落ち着くかは、6月末の民間在庫確定値と令和8年産の作付け動向が鍵を握る。

info@retail-spy.com
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